五大ニュース2013

今年はまた、年初と年末とを比べると状況や自分の中での優先順位がずいぶんと変わり、つまりいい1年だったんだと思います。

そんなわけで今年も勝手にMy5大ニュースで一年を締めるとします。

番外編:iPhone 5s

年末にiPhone 5sを買った。軽いし、どこでもLTEで速いし、そもそもサクサク動くし、指紋認証便利だし。2年ごとに買い替えるとやっぱり感動がある。

5位:ボード旅行

今年もバイト先のみんなと行ったボード旅行は最高に楽しかった。

みんな結婚していくけれど、またバーベキューもボードもしたい!

4位:RSR

今年で7回目のライジングサン!

1日目夜のサンフジンズ奥田民生が唄う青い空と HOW TO GO がかっこよかった。久しぶりにみた真心ブラザーズも最高だった。

それから、RED STARの脇で、ミッシェルのライブ映像に合わせてみんな踊っているのも楽しく、そのあとチバの今のバンドの音圧と張り合いながら後輩と飲んだのも楽しかった。

慌ただしかった1年の中で、転換の間に一人でぼんやりしている時間が、一番とりとめもなくいろいろなことを考えた時間だったような気もする。

3位:異動

12月から京都で働いています。

異動はびっくりしたけれど、仕事は端的にいうと煮詰まっていたと言わざるを得ないので、いいタイミングだったのだと思う。


他の方に仕事を引き継ぐ経験を初めてして、この4年半の思い入れ(≒しがらみ)から身軽になっていく爽快感とともに、持続可能性について考えた。

今までは数百万〜数千万円までの仕事で、いざとなれば自分ががんばればいいという見積・仕事の仕方をしてきていて、それでは引き継がれる人はたまったものではない。

ETロボコンでも何でも同じで、持続可能にしていくことが自分は苦手だと痛感した。


新しい職場はコードを書かない仕事なので、2014年は週末プログラマーになる!

2位:誕生日パーティー

彼女が、勤務先の先輩に想像もしない方法で連絡を取って、サプライズパーティーをしてくれた。

いつもお世話になっている居酒屋(店長にもすっかりだまされた)で休日に彼女と飲んでいたら、会社の人がどんどん入ってきて、何でこんな楽しい会社の飲み会におれだけ誘われていないのかと本気で拗ねてしまった。

こんなに楽しい誕生日パーティーは初めてだった!

1位:インド研修

10月末から1ヶ月間、会社の英語研修で、インドはプネに行かせていただきました。

幸いお腹を壊すこともなく、1ヶ月間仕事を離れてみること、短期間でも海外で暮らしてみること、インドの人たちの生活習慣に触れること、1日8時間英語の講義を受けること、毎日カレーを食べてジンジャーチャイを飲むこと、どれもが楽しかった。

タージマハルは写真では感じることのできない存在感があった。

そしてそれらと同じくらい、同業他社の同世代の研修生たちと親しくなれたことがうれしかった。

修了式では、民族衣装を着て、インド式のお祝いをしてもらって、お礼にスタッフを胴上げして、新人研修の最終日のような忘れられない1日になりました。


皆様が素敵な2014年を迎えられますことを。よいお年を!

2013年、印象に残った本10冊

2008年
2009年
2010年
2011年
2012年

以下、順不同(今年読んだ本で、今年出た本ではありません)。

AV女優の社会学

性の商品化の是非とは一線を画し、副題にある「なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか」を論点とした本。

AV女優という職業は、「なぜAV女優になったのか?」とその職業を選んだ動機を語る機会が異常に多い職業である。という着眼点だけで、この本はおもしろいと確信できる。

その理由の一つは、性の商品化の際に常に論点になる「自由意志」であることの明示が挙げられる。

だけど、考えてみれば、多くの人はそれほど明確な理由などなく、職業や勤務先を選ぶ。例えばリクルーター活動をしていて、学生に聞かれて初めて考える。

どのようにして動機を語るようになり、そして動機を語り続けることでどのような変化が起こるのか、フィールドワークを通して考えた本。

経済物理学の発見

経済物理学の発見 (光文社新書)

経済物理学の発見 (光文社新書)

経済物理学というアプローチを、パイオニアである著者が紹介した本。例えば、なぜ為替レートや株価が複雑な変動するのか?という問いに対して、理想的状況を想定して理論立てて考える従来の経済学に対し、経済物理学では詳細な現実の大量データを解析して分析していく。

数式はほとんど出てこず、それでいてグラフを用いて視覚的に素人にも分かりやすく紹介されている。

経済物理学というアプローチには、初めて行動経済学を知ったときと同じようにわくわくさせられたし、この本を読んでカオス・フラクタル・臨界のイメージを初めて持てた。

来るべき民主主義

雑木林の破壊を伴う道路建設計画の見直しの要否を巡って住民直接請求による住民投票が行われた、小平での道路問題についての本。問題の経緯、著者の國分さんが体験したこと、考えたことがまとめられている。

著者の國分さんのtwitterで、小平の道路問題の経緯と、國分さんが打ち出した「立法権ではなく行政権にこそアプローチすべき」という概念は知っていた。

実際の政策決定は実は立法ではなく行政で行われていること、それにも関わらず、主権者たる民衆は行政にはアクセスできない、それこそが今の民主主義の閉塞感の理由であることが描かれている。

それに加えて、この本から学んだことは「制度が多いほど、人は自由になる」ということ。

この本を読むまで、制度はシンプルな方が透明度が高くて良いとなんとなく考えていた。

行為の制限である法に対して、制度は行為のモデルであり、制度は多ければ多いほど人は自由になる。例えば育児休暇を終えて時短で働いている方(とても仕事ができ、そしていてはるだけで職場の雰囲気がよくなる)に思い当り、この本を読んで考え方が変わった。

ドゥルーズの哲学原理

ドゥルーズの哲学原理 (岩波現代全書)

ドゥルーズの哲学原理 (岩波現代全書)

哲学の素人でドゥルーズを読んだことなどもちろんないおれにも、改めて哲学の楽しさを教えてくれた1冊。

ドゥルーズの文体が、どう彼の哲学と繋がっていて、その実践にどういう限界があって(新しい主体性が目指すことのできない「失敗」によって定義されること)、ガタリとの協同作業に至ったかが示される。

ドゥルーズフーコー論の読解を通して示される、フーコーの権力論とそれに対するドゥルーズの批判もすっと理解でき、國分さんはやっぱりすごい書き手だと思った。

ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」の以前の推薦図書特集で、構成作家古川耕さんが読書を登山に例えていたのが印象に残っていて、この本を読み切ることができてなんだかうれしかった。

功利主義入門 はじめての倫理学

功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書)

功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書)

『これからの「正義」の話をしよう』が1つの問題を複数の立場で考えてみるのに対し、功利主義功利主義への批判を考えてみることを通して、倫理学の考え方を紹介する(『自由はどこまで可能か』の功利主義版という感じ)。

何が幸福かは人によって考え方が異なるので国家が介入すべきでなく、病気や貧困といったよりより合意を得やすい不幸の削減に国家は取り組むべきだという、菅元総理の「最小不幸社会」というスローガンは、この本でも紹介されていて、改めて魅力的な考え方だと思った。

「高望みしない人々」をたくさん作って彼らの限定された選好を満たせば良いのか?(適応的選好の形成)、喫煙のような愚かな選好を充足すべきかそれとも「幸福になるために必要なことリスト」を作ってパターナリスティックに適用すべきか?、などの論点を紹介した幸福についての章がおもしろかった。

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

今まで読んだ統計学の本の中で一番キャッチーにそれでいて体系的に統計学の基礎が紹介されていた。カイ二乗検定/回帰分析などの一般化線形モデルを並べた表など、そういうことだったのか!と思った。

具体的な行動に繋がるデータ分析でなければビジネスでは役に立たないことをありがちなブランド認知度で示して集計と統計の意味の違いを示したり、紙おむつと缶ビールで有名なバスケット分析を例に誤差へのアプローチを示したりと、具体例と統計学の理論を行ったり来たりするのがうまかった。

IQ(心理統計学)、検索エンジンの技術(テキストマイニング)など統計学の6つの特徴的な分野が具体的に紹介される後半もおもしろかった。データマイニングは予測、今後何をすべきかを議論するなら回帰モデルのが役立つと、データマイニングに批判的なのにも共感させられてしまった。

HHhH

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

ナチによるユダヤ人大量虐殺の首謀者であったハイドリヒの暗殺計画を舞台にした歴史小説

であると同時に、歴史を小説にすることを著者が自問自答して葛藤する姿や、恋人に痛いところを指摘されるところ、ハイドリヒ襲撃についての他の小説や映画を見つけては自分の小説と比べてしまう著者の姿が描かれる。

この本が純粋な小説形態であったり、ノンフィクションであったりした場合と比較することはおれにはできないけれど、クライマックスに向かう高揚感がたまらなかった。


クリュセの魚

『哲学的な何か、あと科学とか』に、どこでもドアを通った先の自分が自分のコピーであるとするならば、果たしてそれは元と同じ自分なのか?という話が出てくる。

人類第2の故郷となった火星と地球とを直結する「ワームホールゲート」を舞台にしたSFでありラブストーリーで、最後はちょっとぐっときた。

この小説の「観測選択体集約機」という概念は、魔法少女まどかマギカや、前に読んだ東浩紀さんの小説『クォンタム・ファミリーズ』と対になる話だと思った。

何者

何者

何者

就職活動とtwitterをめぐる、自意識についての小説。

学生時代にサークルに所属していたころにこの本を読んでいたらおれは耐えられなかったと思う。

就職して、自分の中に物語がなくとも実直に仕事をするという方法があるということを知る前の、青春の話だと思った。

ソロモンの偽証

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第I部 事件

ソロモンの偽証 第II部 決意

ソロモンの偽証 第II部 決意

ソロモンの偽証 第III部 法廷

ソロモンの偽証 第III部 法廷

クリスマスイヴに雪の校庭で確信犯的な死を遂げた中学生。それを端に中学校に事件が連続し、噂や思い込みが立ち昇っては抑えこまれる。事実だけが覆い隠され、そして生徒たちは学校内裁判を立ち上げることを選ぶ。

全3冊の単行本の1冊目で、生徒個人個人、教師、親、マスコミ、警察の暗黒面、そして1人の登場人物の悪意が神視点から暴き立てられる。江波光則『ペイルライダー』を現実的にしたような話で、とにかく怖い。

宮部みゆきの小説で、主人公が好きな女の子の無実(?)を証明するために奮闘する小説があったと思う。証明の過程で、女の子は責められるべきことではないのだけど、主人公にはどうしても肯定できない事実が判明してしまう。そういう直視したくない自然な嫌さがこれでもかと描かれる。

それでも読み進められたのは、宮部みゆきの小説では、ギリギリのところで「まっとう」であることを選びとる人物が初期から明確にされていてるから。宮部みゆきの小説は着地が甘すぎるというのは分かるのだけど、おれはそれが好き。

結末はかなり早い段階から示されていて、2冊目と3冊目1400ページくらいをかけて、現状に対して提示しうる希望を、最大限説得的に描いているのだと思った。おれは3冊目の後半では泣きそうになりながら読んでいた。

その希望とは、共感や納得はできなくてもちゃんと話を聞いて理解しようとしよう、憶測・願望ではなく事実を見る努力をしよう、それはやれば可能なのだから、ということなのではないかと思う。

異動だって!

1年以上ぶりのお客さんから作業依頼が来て、電話で話した。

その穏やかな口調のなつかしさに、ちょっと感傷的になってしまった。

おれの壮行会の名目で連日いただく飲みのお誘いを、先週末の旅行で引いた風邪を理由に断り続けている最中なので余計に。5日連続で断ると心が折れる


おれは1/3は新人研修の上司と同期に、次の1/3は現場配属後の周りの方々に、残りの1/3はこの顧客のお世話になった方々に育ててもらったと思っている。

(大企業であればどこもそうであるように)情報システム部門はさておいて、現場の方々は頭の回転が速く、どう見ても若造で経験の浅いおれを、発注側と受注側という関係性の中で対等に扱って、仕事を出してくれた。これが日本が誇る一流の企業の底力なのだと本気で考える。


顧客51:自社49で少しだけ顧客のメリットを優先して行動しなさいと言うけれど、おれはお客さんのことをもうちょっとだけ考えすぎてしまって、システム化範囲を最小化しようとするあまり、なかなか大きな規模で仕事が取れなくなるという苦い経験もした笑

お客さんと2人で飲みにいったときに、そろそろ転職とか考えないの?と真顔で言われたこともあった。

おれがベンダーをうまくコントロールできずに大きめのクレームになって、お客さんの上司の前で謝ったときに、お客さんの担当者の方がおれより緊張していて、心から申し訳ない気持ちになったこともあった。

社会貢献とか大きなシステムとかにはまったく興味がない自分にとって、実際に目の前にいる顧客担当者と一緒にプロジェクトを成功させて、喜んでもらえるのが一番のやりがいになった。


10月末から1ヶ月間インド語学研修で不在にすることを各顧客に順に説明している最中に、帰国後の人事異動を命じられた。

もう1ヶ月以上前から調整が入っていたらしいけれど、サラリーマンの異動はたいてい本人が最後に知る。

今のお客さんとの付き合いがあるうちは転職はしないんだろうなと思ってやってきたけど、いざ異動が決まれば、(頭ではサラリーマンとはそういうものだと理解していてもびっくりしてしまうほどに)機械的に引き継ぎが進んでいく。1つずつ身軽になっていく感覚に戸惑ってしまう。


大抜擢だとみんな言ってはくれるけどどんな役割を担うのかは誰も知らなくて単にしんどいプロジェクトなんじゃないか、とか、今期チームとして持っている予算は(おれの力ではないけれど)棚ぼた案件のおかげで大幅達成見込みなのにそれでも期中に外されるのか、とか、仕掛の案件(うち1つはトラブル2歩寸前だし)も提案中の案件もいくつも持っているのに、とか、今年は新入社員をチームに配属してもらうことに成功したので1年間は一緒に過ごしたかった、とか、もし来年も今のチーム体制でやらせてもらえるならやりたいことがあったのに、とか、これ以上プログラマから遠ざかりたくない、とか、会社の周りに気に入っている昼食屋がたくさんあるのに、とか、何よりせっかく徒歩15分で通勤できるのに1時間かけて通勤したくない、とか。


異動したくない理由はだいたい100個くらいあるけど。

でも今年は確かに煮詰まっていたので、完璧なタイミングなんだと思う。

『ディア・ドクター』という映画が好きです

いよいよ明後日はETロボコン関西地区大会。


IT業界に入って、より良い開発をして、より良いソフトウェアを作りたいと思っていた。
プログラミングをしているときが、一番楽しかった。Rubyを勉強しているときにわくわくした。

だけど、一歩挑戦してちょっと難易度が高いシステムを1,000万円で作るよりも、協力会社の人にたくさん入ってもらって規模が大きくリスクが低い仕事をすると4,000万円もらえて、会社にとっても組織にとってもチームにとっても良いのも現実。

理想は、チームを維持するための仕事と、メンバーみんながエンジニアとして一歩先に進むための仕事を並行してすることなのだけど。

今年は、初めて経験したお客様からのクレーム対応に追われ、その後はがらっと変わった新しい業務フローと基幹システム・管理会計に必死で順応して、どんどんやってくるパワーポイント作成に対応して、一つのことに没頭できる時間はなくなる一方。

外の世界に触れてわくわく感と同時に危機感(というよりむしろ絶望感)を感じることも減って、予算を達成すれば褒められてそれはもちろんうれしくて。

ボールが来るから打って、打つからまたボールが来て。

分かったことはおれはタフではないということで、だからそのフォームを録画して、見返しながら試行錯誤してより良くしていく余力は残っていない。

去年はETロボコンに夢中になっていたけれど、いつの間にかまた来るボールの1つになっていた。

だから今年でロボコンは引退する。

全国大会に行きたいな!

五大ニュース2012

今年は2つのことを繰り返し感じた1年だった。1つはハングリー精神について、もう1つは時間が流れる不思議さについて。


ハングリー精神について。

おれは良く「サラリーマンだからね…。。」と自嘲的に言ってしまうのだけど、具体的に仕事の話をすると「楽しそうやん!」って言われる。

それはその通りで、その「楽しい」ことこそがサラリーマンであることの問題なのだ。学生時代より精神的にも肉体的にもラクで、仕事はそれなりに充実していて、人間関係もよくて、それで一人で遊ぶには困らない給料が毎月振り込まれてくる。

学生時代の友人たちも、勤務先の人たちも、たくさんの人たちが、転職したり、自分がやりたいことを見つけたり、結婚したりと、新しい道を選び取っていった。

いっぽう自分は、プログラマーとして社外に通用する存在になりたい、とか、1年間は生活に困らないだけの金を貯めて20代のうちに勝負をかける、といった気持ちはどこへやら。チームとして一定の利益が出ていて、みんなが楽しく働きながら次のステップに進んでいける環境が作れれば、それが自分にとって一番いいのではないか、などと思い、それも覚束ない有様。


もう1つは時間が流れる不思議さについて。

今年は、数年ぶりに二人で飲む友達とご飯を食べる機会が数回あって、二人でないと話せないようなことをたくさん話した。

学生時代、5年後にも気の置けない間柄が続くだろうとは思えど、具体的にお互いにどんなことを話しているかは想像できなかった。実際は、穏やかで素敵な時間で、思いがけない感情が立ち昇ってきたりと、映画『Before Sunset』の中にいるような気分だった。

たとえば、バイト先の人たちとはもう8年の付き合いで、むしろ就職してからの方が仲がよいかもしれない。しかし8年後(おれは36歳になっているはず!)今のままってことはないのだ。誰かが付き合って、別れて、それでも変わらずに戻ってくる場所というのは一時の夢だと、いくつかの「結婚します」に決定的に暴かれた気がした。

だけど、みんな結婚して、子ども連れでキャンプしたりして、おれだけ独身で呼んでもらえないとかそんな日も来るのかもしれない。それはそれですごく楽しいのだろうと、思う。


そんなわけで今年も勝手にMy5大ニュースで一年を締めるとします。


5位:引っ越し

独身寮を出ることになって、職場の先輩に休出終わりに付き合っていただいて部屋を決め、バイトの後輩たちに手伝っていただいて引っ越しをした。

新しい街を自転車で走り回るのはそれだけで高揚感があって、行き詰まったら引っ越しをしたらいいと知った。

自転車ですぐの所にジュンク堂がある生活は素晴らしい!本はAmazonではほとんど買わなくなった。

4位:鳥取旅行

今年も男子会(仮)は楽しかった。鳥取砂丘はみんな一度は行くべき!


3位:ライジングサン

今年で6回目のライジングサン!

Perfume斉藤和義初恋の嵐フィッシュマンズandymoriもすばらしかった。トリはエレファントカシマシで、アンコールで『俺たちの明日』をやってくれた。

2位:バイトのボード旅行と10周年記念パーティー

年始のボード旅行できゃっきゃ言いながら歴代バイトを洗い出し、先輩たちと打ち合わせと称した飲み会を数回やって、10周年記念パーティーが開催された。全員に配ったアルバムを作るために、家でビールを飲みながら一人当時の写真を眺めたのも幸せだった。

ちなみにアルバムはTOLOTというサービスで作ったのだけど、1冊500円だし便利でした。

1位:ETロボコン

今年の夏はETロボコン一筋。毎週末、後輩と朝から終電間近まで会社にいた。就職してから1つのことにこんなに打ち込んだことはなかった。

ETロボコンの何が好きって、全国行こうぜ!って言えるところ。この年になって、というか中学から課外活動は文系一辺倒だったのでそんな青春送ってなくて、○○円売り上げるとか、スキル向上がどうとか、社会貢献がどうとかじゃなくて、全国行こうぜ!って言えるうきうき感が最高。

今年は結果を残せなかったのだけど、来年もう1回チャンスをもらって全国に行かれるようにがんばる。


皆様が素敵な2013年を迎えられますことを。よいお年を!

2012年、印象に残った本10冊

2008年
2009年
2010年
2011年

以下、順不同(今年読んだ本で、今年出た本ではありません)。

  • それでも、日本人は「戦争」を選んだ
  • 困ってるひと
  • 「科学的思考」のレッスン―学校で教えてくれないサイエンス
  • ストーリーとしての競争戦略
  • 当事者の時代
  • デフレ化するセックス
  • ぼくは勉強ができない
  • 虐殺器官
  • わたしがいなかった街で
  • なずな

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

それでも、日本人は「戦争」を選んだ

日清戦争から太平洋戦争に至るまで、日本が起こした戦争が侵略であったことを前提とした上で、それではどんなロジックや必然性で戦争しかないと日本が選んでいったのかを説得的に解き明かす。

終戦前後と原爆にまつわる情緒的な戦争批判と、侵略戦争という観点だけからでは見えない、戦争が日常的に起こり、普通の選択肢であった時代の政治感覚というのがちょっとだけ理解できた気がした。

何より、太平洋戦争開戦に際して国民が、弱いものいじめをしているような後ろめたさを感じていた日中戦争に比べて、日本より国力の高い英米と戦うのだから明るい戦争だと歓迎した、という説は目から鱗が落ちるようだった。

『これからの「正義」の話をしよう』でサンデルは、コミュニタリアニズムを取る理由として、同性婚の是非(=結婚制度の目的を何に置くか)などを例に挙げて「中立な立場」は存在しえなくて道徳的・宗教的判断を含んでしまうことを示していた。この本を読んで、「まっとう」な感覚、について考えさせられた。

困ってるひと

([お]9-1)困ってるひと (ポプラ文庫)

([お]9-1)困ってるひと (ポプラ文庫)

東京に出て大学で過激にビルマ難民の研究・支援をしていた著者(「ビルマ女子」)が、自己免疫疾患系の日本ではほぼ前例のない難病にかかって、難病と付き合いながら生活していく方法を築こうとするまでを書いたエッセイ。おれは著者と同い年。

現代日本において、窮地に陥ったわたしのような難病患者が「どうやって生きていけるのか」の問いに対する処方箋は、皆無」、つまり文字通り難民化していることを認識し、死に物狂いで社会制度と戦いながら自分自身で生活していく『道』を切り開いていく。

友人たちに甘え、頼り、疲弊しきった友人たちに「もう、無理だと思う」と告げられるところが一番印象的だった。その場、その時の本心である「何でもするよ」「何でも言って」が、しかし持続不可能であること、ビルマの難民キャンプでの活動で学んだそのままの状況に自身が陥っていたことに絶句する。

そこからビルマ難民が頼っていたものを思い返し、持続可能な頼れるものは社会の公的な制度だけであることを悟り、日本の複雑怪奇な社会補償制度との格闘を始める。

「困ってるひと」というタイトルも秀逸で、喜劇でも悲劇でもなくて「困っている」という、ほぼ日の対談でも述べられている著者の態度がうまく表されていると思う。

ほぼ日刊イトイ新聞 - 健全な好奇心は病に負けない。 大野更紗×糸井重里

そうです、みんな困ってるわけですよね。社会が動き、数多の不条理が発生しているときに、価値概念をまず最初に導入してくることは いちばんまずいなぁと思っています。

そのとき起きたことや発言に対して、「正義か悪か」「良いか悪いか」みたいな話に終始する。それでみんな論争し、紛争するわけです。具体的にどう対処するか、の手前で思考が止まってしまう。

「科学的思考」のレッスン―学校で教えてくれないサイエンス

科学的に考えるとはどういうことか、科学の方法論についての誠実な入門書。

反証が可能であることの重要性、コントロール(対照群:二重盲検定が分かりやすい例)の重要性、相関関係と因果関係の読み違えやすさなど、事例や巧みな練習問題を使って読みやすい文章で解説している。

「対立仮説を棄却していく」ことが明文化されていなかったことだけが残念だけど、学生時代に学んだことが見事にまとめられていた。何より、科学は白黒ではなく真理はないが仮説には相対的な「良さ」があることを示しているのがよかった。

そして本書の後半、被爆リスクを例に「市民の科学リテラシー」の大切さを説いている部分は、非常に考えさせられた。

おれはこの本を読んではじめて、ベクレルとシーベルトの意味を明確に理解した。

のだけど、それすら現時点では完全に忘れてしまっている。

つまり被爆リスクについてまさにこの本に書かれているようなことを考える必要があるからこそ、「市民」は成立し得ないのではないかと思う。

ストーリーとしての競争戦略

「優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリー」であり、静止画ではなく生き生きした動画、分析ではなく一貫した因果論理による総合だと、サウスウエスト航空・アマゾン・ガリバー等を紹介しながら戦略のおもしろさを語る。

ベスト8進出(目標)、誰々をスタメンで起用する(組織編成)、グラウンドのコンディションはこうなっていて(環境)、最近のサッカーの世界の潮流はツートップで(ベストプラクティス)、日本代表としての誇りを胸に(気合と根性)。そのどれも戦略ではない。

戦略作りとは判断基準を作ることだと感じた。高付加価値/低コスト/無競争(ニッチ)のどこに軸足を置くかを決めて、本当のところ誰に何を提供して顧客はなぜ喜ぶのかを物語のようにリアルにイメージしてコンセプトを表現し、成功と失敗の境界条件をきちんと定義しておく。

印象に残ったのは、「誰をターゲットにしないか」を明確にすることと、肯定的な形容詞を使わずにコンセプトを表現すること。

「最高の品質」とか「顧客満足の追求」では、思考停止に陥り本当のところ誰が喜ぶのかがぼやける。サウスウエスト「空飛ぶパス」、スターバックス「第三の場所」、ホットペッパー「狭域情報誌」はどれも価値中立的な言葉である。

当事者の時代

「当事者」の時代 (光文社新書)

「当事者」の時代 (光文社新書)

佐々木俊尚さんが<マイノリティ憑依>という強力な概念を提示した本。<マイノリティ憑依>とは、当事者性を失い、弱者や被害者の気持ちを神の視点から勝手に代弁すること。

「「被災者の前でそれが言えますか」という発言。あるいは、福島の母子の気持ちを勝手に代弁する多くの人たち。」

感想⇒ <マイノリティ憑依>という強力な概念の提示 - あいうえおかの日記

デフレ化するセックス

デフレ化するセックス (宝島社新書)

デフレ化するセックス (宝島社新書)

これは今日読んだ本なのだけど、衝撃的だった1冊。

帯の「供給過剰な女たち」という実態が、具体的な金額の推定に基づいて説得的に紹介される。

採用偏差値という概念を導入し、クラスで何番目くらいにかわいくてこれくらいの胸のサイズだと、こういうところで働けて月収はこれくらい、とか、地域による価格差はこれくらい、というのを赤裸々に書いている。

生活水準を考えると、東京で一人暮らしをする女子大生の3人に1人くらいは風俗予備軍で、体を売るのはもはや誰でもできる仕事ではない。

ぼくは勉強ができない

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

「お前はすごい人間だ。認めるよ。その成績の良さは尋常ではない。でも、おまえ、女にもてないだろ」とクラスメートに言い放つ、バーで働く年上の女性と付き合う高校生の主人公が、自分の違和感を説明する言葉を掴みとっていく青春小説。

とても饒舌な著者で主人公に託した価値観を独白するために登場人物たちを転がしていくような小説だけど、パンチラインが強烈で、そうだ!そうだ!と言いたくなる魅力があった。

たとえば主人公の友達の女の子はクラスの女の子たちが純愛ごっこをするのが嫌だとこう言う。「クラスの女の子なんて、セックスの経験乏しいからさ、わかんないのよ、きっと。神経が、下半身までまわんないのよ」

そんな主人公が大学に進学することを選びとる描写はちょっとぐっときた。

虐殺器官

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

友達に教えってもらって伊藤計劃の『虐殺器官』『ハーモニー』を一気に読んだ。

現在の脳科学や医学・薬学の行く先について突き詰めて妄想したことがある人ならば誰でも興奮するであろうSF。設定がとにかく緻密で、数十年後の近未来には必ず実現するであろう技術をベースに描かれている。

『脳はなぜ「心」を作ったのか』という本を学生時代に読んで、リベットの自由意志の実験に衝撃を受けてから、その先について考えを進めた本についに会った、という感じで大興奮して読んだ。

わたしがいなかった街で

わたしがいなかった街で

わたしがいなかった街で

主人公は36際、平日は派遣社員として働き、休日は戦争ドキュメンタリーを垂れ流している、大阪育ち東京在住で少し前に旦那と離婚した。

「死ぬまで二度と会うこともないからさようなら、と言い合って別れたことはない」「だとしたら、会うことがない人と、死んでしまった人と、どこが違うのか」。永井均の「解釈学・系譜学・考古学」のようなことを、主人公はいつも考えてしまう。

主人公は、「会えるかもしれない、とわたしは思い続けることができる。会わなかった年月の分、年を取った彼らと。」と考えるに至る。それが今年の自分の気分とマッチしていた。

今まで読んだ柴崎さんの小説ではどれも、一見なんともない日々の蓄積でも、自身の状況も感じ方も確かに変わっているのが描かれる(『虹色と幸運』も好き)。今回の小説には圧倒的なクライマックスシーンがある(映画『八日目の蝉』の小豆島のお祭りシーンがほんと美しくて説得力があったように)。

あと京橋や大阪城など自分の生活圏が、違う表情で登場して、新鮮だった。

なずな

なずな

なずな

この小説はおれにとってとても大切な小説になった。

『なずな』(堀江敏幸) : 本屋さんへ行こう!

主人公は赤ん坊に対して、一回も「かわいい」という言葉をつかわないのである。

東京を離れ田舎の新聞社で働く独身40代の主人公が、突然弟夫婦の生後2ヶ月の赤ん坊なずなを預かることになる。

なずながやってきてから周りの人が初めて聞く話をふとしてくれることが多くなり、そして主人公の視点や関心、解像度が変わっていくのが淡々とくっきりと描かれる。食事の描写がとにかくおいしそうで、たくさんの野菜を煮込んだスープとか炊き込みご飯を作って食べたくなる。

はじめて自分以外のものを中心に生活することになる主人公。対してなずなは本人は周りの世界のことなどどこ吹く風で気ままに泣いたり眠ったり喃語を発したりしながらにして、どこにいっても世界の重力の中心になってみんなを引きつけその関係性を変えていく。

ポスドクさんや後輩の子どもに振り回されながらいつまでもじゃれていたくて、年の離れた後輩でもそうなんだけど、人が時間を経て変わっていくのを間近で見ている贅沢は、おれも知っている。でも自分の価値観や人とのつきあい方を変えてしまうのは、四苦八苦しながら一緒に暮らしてこそなのだろうと思った。

#RSR2012

ほどよく酔っ払って帰宅。今年は前乗りしなかったこともあってか例年以上にあっという間で、24時間前はライブを観ていたことすらが幻想のようだけど、RSRの思い出を『初恋に捧ぐ』をリピートしながら書く!



1日目。新調したテントを後輩たちの指導の元なんとか組み立てて、ハンバートハンバート×COOL WISE MANを聴きながら乾杯。

それからPerfumeを見た。Perfumeは初めて見たどころか、今まであまりちゃんと聴いたこともなかった。自分たちの立ち位置もRSR好きのくすぐり方も完璧に踏まえて、その上で曲とビジュアルに持っていかれて、感動した。Pefume大好き!

それからのんびりして、斉藤和義。『歩いて帰ろう』で始まって、2曲目の前に斉藤和義が発したのは「青春!」。ん?青春ブルース??と思ったら、イントロが鳴った瞬間、そう、ハイロウズ!!今年もRSRにやってきた!

岡村靖幸。生『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』を聴いた。


そして1日目の最後は、友達に教えてもらった初恋の嵐を見た。こういうステージが必ず毎年1つはあるからRSRに行くのだ!(無念なことに2日目の向井秀徳eastern youth吉野さんは力尽きて見過ごしてしまったけど。)スピッツによる『初恋に捧ぐ』のカバーがYouTubeに上がっていたので貼ってみるけど、オリジナルがiTunes Storeで買えるよ!



2日目。温泉に入ってピザを食べて、アジカン貫禄のステージ。「今日はみんなが聞きたい曲をたくさんやって帰ります」。

それから初めてのフィッシュマンズ。おれが初めてRSRに行ったのが2006で、前年にフィッシュマンズが出ていたことを知って悔しかったんだけど、ついにRSRフィッシュマンズを見た。

佐藤伸治さんが存命だったころはおれはフィッシュマンズを名前も聞いたこともなかったのだけど、『彼と魚のブルーズ』を読んで同じ時代を下北沢で過ごしたように錯覚したり、形は変わってもこうやってライブを見ることができるんだ。音の中を自在に泳ぐ原田郁子がキラキラしていて、夢のようだった。


2日目もすっかり夜になって、BOHEMIAN GARDENの後ろで石狩鍋を食べていると花火が上がって、終わりを意識し始める。

N'夙川BOYS。映画『モテキ』の最後に流れる『物語はちと?不安定』でN'夙川BOYSを知って、去年のボロフェスタでのライブが最高だった。バンドをやることの喜びに満ち溢れたチャーミングなバンドで大好き。

それからついにandymori

リハでeverything is my guiterをやっていて思わず立ち上がって飛び跳ねたら足に一気に来た。andymoriは演奏もボーカルもめちゃくちゃうまくて、音のこもりがちなEARTH TENTでタイトで躍動感のある伸びやかな演奏をかまし、多幸感あふれるライブだった。

1曲1曲が短いので『ベンガントラとウィスキー』も、くるりファンファンをゲストに迎えた『1984』も、聴きたかった曲を全部やってくれて、この1年以上今ライブを観たいバンドNo.1だったこともあって、今年のRSRで一番はしゃいだ。


それから、最後にエレカシを見た。今年のエレカシはいつもとはまた音の厚みの次元が違う演奏で、ギターとベースが踊っていて、『悲しみの果て』など鳥肌が立った。アンコールでは『俺たちの明日』をやってくれて、今年のトリがエレカシでほんと良かった!


ライブが終わりちょっと寝て、テントを片付けて、銭湯に行って、それから後輩の運転でドライブしてきゃっきゃ言いながら回転寿司を食べた。

後輩たちの話を聞いていて、改めて敬意を持った。おれは一気に2.0にはなれないんだろうけど、来年は1.1になっているように覇気をもってやっていこう。ライブが終わってから帰りのフェリーや飛行機までの時間をこんなに楽しく過ごしたことはなかった6回目のRSRだった。

もう6回行ったので、そろそろ常連気取りで来年も行くよ!また来年!!