異動だって!

1年以上ぶりのお客さんから作業依頼が来て、電話で話した。

その穏やかな口調のなつかしさに、ちょっと感傷的になってしまった。

おれの壮行会の名目で連日いただく飲みのお誘いを、先週末の旅行で引いた風邪を理由に断り続けている最中なので余計に。5日連続で断ると心が折れる


おれは1/3は新人研修の上司と同期に、次の1/3は現場配属後の周りの方々に、残りの1/3はこの顧客のお世話になった方々に育ててもらったと思っている。

(大企業であればどこもそうであるように)情報システム部門はさておいて、現場の方々は頭の回転が速く、どう見ても若造で経験の浅いおれを、発注側と受注側という関係性の中で対等に扱って、仕事を出してくれた。これが日本が誇る一流の企業の底力なのだと本気で考える。


顧客51:自社49で少しだけ顧客のメリットを優先して行動しなさいと言うけれど、おれはお客さんのことをもうちょっとだけ考えすぎてしまって、システム化範囲を最小化しようとするあまり、なかなか大きな規模で仕事が取れなくなるという苦い経験もした笑

お客さんと2人で飲みにいったときに、そろそろ転職とか考えないの?と真顔で言われたこともあった。

おれがベンダーをうまくコントロールできずに大きめのクレームになって、お客さんの上司の前で謝ったときに、お客さんの担当者の方がおれより緊張していて、心から申し訳ない気持ちになったこともあった。

社会貢献とか大きなシステムとかにはまったく興味がない自分にとって、実際に目の前にいる顧客担当者と一緒にプロジェクトを成功させて、喜んでもらえるのが一番のやりがいになった。


10月末から1ヶ月間インド語学研修で不在にすることを各顧客に順に説明している最中に、帰国後の人事異動を命じられた。

もう1ヶ月以上前から調整が入っていたらしいけれど、サラリーマンの異動はたいてい本人が最後に知る。

今のお客さんとの付き合いがあるうちは転職はしないんだろうなと思ってやってきたけど、いざ異動が決まれば、(頭ではサラリーマンとはそういうものだと理解していてもびっくりしてしまうほどに)機械的に引き継ぎが進んでいく。1つずつ身軽になっていく感覚に戸惑ってしまう。


大抜擢だとみんな言ってはくれるけどどんな役割を担うのかは誰も知らなくて単にしんどいプロジェクトなんじゃないか、とか、今期チームとして持っている予算は(おれの力ではないけれど)棚ぼた案件のおかげで大幅達成見込みなのにそれでも期中に外されるのか、とか、仕掛の案件(うち1つはトラブル2歩寸前だし)も提案中の案件もいくつも持っているのに、とか、今年は新入社員をチームに配属してもらうことに成功したので1年間は一緒に過ごしたかった、とか、もし来年も今のチーム体制でやらせてもらえるならやりたいことがあったのに、とか、これ以上プログラマから遠ざかりたくない、とか、会社の周りに気に入っている昼食屋がたくさんあるのに、とか、何よりせっかく徒歩15分で通勤できるのに1時間かけて通勤したくない、とか。


異動したくない理由はだいたい100個くらいあるけど。

でも今年は確かに煮詰まっていたので、完璧なタイミングなんだと思う。