ちょっと失恋みたいな気分の夜に

ライブを見たあとに鴨川を1時間半散歩しながら、1年前のことを思い出した。

あの日も後輩たちの卒業ライブを見て、それから研究室に戻ってすべての片づけを終えた。お別れを言って、そのときは泣かなかったのに、自転車で三条に向かって鴨川を走っていたら涙が止まらなかった。

それから追いコンに行って、自転車は後輩にもらってもらい、後輩の家に泊めてもらって、次の日新幹線に乗って東京に行った。


それから今日のことを思った。

卒業ライブはたったの8曲で淡々と進み、教室一杯の観客の前で、いやに爽やかでかっこよかった。

今年卒業する後輩たちの演奏をはじめてに近い感じで見たんだけど、誰かが突出してうまいというよりも全体的にレベルが高くて、リズム隊がしっかりしていて、音楽を介してコミュニケーションをしている感じが伝わってきた。

おれは今のこのサークルに入りたいと思ったもん。


なんだけど、ライブが終わって後輩2人に挨拶をしていたときに、どうしようもなくごくごく個人的な思い入れがあふれ出してきた。

ちゃんと今までのお礼を言いたくて行ったんだけど、もう泣いてしまう一歩手前でできなかった。


4回生の冬にもなって、ボード旅行で1回生と仲良くなれたことはどれだけうれしかったことか。

あの頃のおれは、サークルへのわだかまりがすっと消えていっていて、彼らとこうやって友達になれたことは新しい自分のはじまりのような気さえして、サークルをやめなくてよかったと心から思った。

もう何も斜に構えたりせずに、自重なんてせずに、この場所でやりたいことをしようと思った。

だからおれはサークルでtokyo bluesと劇的な瞬間を一生懸命練習して演奏した。修士を出るギリギリまでバイトを続けた。

彼らはそんな風に思わせてくれる人たちで、つまりおれは彼らみたいに生きたいと思っている。


今はインターネットがあってTwitterがある素敵な時代だから、これで今生の別れなんてことはない。これから楽しいことがもっと起こっていく確信がある。

だけど、というかだからこそ、こういうけじめの日にしか言えないことを、酔っ払ってボロボロ泣きながらじゃないといえないことを、言えたらよかったと思う。

今まで本当にありがとう。