研究室にプリンターは何台必要か?

今日の飲み会で聞いた話のメモ。


効率を上げるという名目で何か提案が出るときは、「効率」という無敵の正論を隠れ蓑に、面倒くさくなった人間関係を回避しようとしているケースが極めて多い。

だからこういう話が出たときは、「チームの空気が悪くなっているサインではないか?」と疑おうね、というお話。

「いちいちプリンターのある部屋にプリントアウトしたものを取りに行くのは非効率的だから、プリンターを各部屋に置こう」というのは、「効率を上げる」というのを隠れ蓑に、実はプリンターの前でプリントアウト待ちの人同士で話すのが面倒くさいという場合もある。


研究室にはプリンターが1台しかなくてもいい。コーヒーは自分の席ではなくお茶部屋で飲むこととする。

完全に一人でやる仕事なんてほとんどない以上、こうやって、どうしても人が集まる場所を作り、コミュニケーションを取らざるを得ない仕組みを作ることも、チーム全体の生産性を上げるためには必要なこともある。


ぼくのバイト先の居酒屋のアルバイトの雰囲気がすごくいいのは、バイト上がったあとに空いている部屋で一緒にまかないを食べる、という慣習があるからだと思う。そして当たり前だが重要なことには、誰と一緒にシフトに入っていようと、否応なしにその日一緒に入っている人とご飯を食べる。

この点で、うちの店はすごく恵まれている。

全室個室でまかないの頃にはどっかしら部屋が空いていて、まかないをパントリー(作業するスペース)で立ち食いってことは1回もなかった。お客さんから見えない、かつ、座って話しながら落ち着いてご飯が食べられる。仕事が終わったあとに食べるし、バイトが上がってから社員さんの発注なんかが終わるまでは2時間くらいはあるので、そして社員さんがすごくバイトのことを大切にしてくれていて、早く食べてとっとと帰れってことにも決してならない。

前の店長が、バイトを一人ずつ順番に上げるのをやめて、なるべく2人以上ずつ一緒に上がるようにしてくれるようになったことと、今のアルバイト間の関係の良さ、うちの店の売り上げが伸び続けていること、これは無関係ではないとおれは考えています。


昔、大好きな先輩と飲んでいるときは、いつも最初の2時間くらいは下ネタしか言っていなくて、だいぶ酔っ払ってきて下ネタも言い飽きると支離滅裂に掘り下げる話をしていた。



人と人のコミュニケーションってそんなに効率を上げることができるものでなくて、立体的な人の思考全体のうち「その瞬間の思考」というごく一部の断面図が精度高く伝わるコミュニケーションには、様々な角度から見たその人の思考の平面図からなんとなくでも立体的な全体像がイメージできていることが不可欠だと思う。

そして「言葉」が思考の「ある平面への投影図」でしかなく、表情やふるまいが違う角度の投影図を与えてくれるから、ただ一緒に過ごすたわいもない時間、共同作業的なものが重要なのだと思う。


と、強く思っていて、だからこそ「テレビ電話ではなくて、隣の部屋に住んでいる感覚」としてのスカイプに可能性を感じたんだな、というお話でした。