旅の手帖 - RSR2008
ライジングサンが終わった。
今年は帰りに一人ずつ別れていって、最後に後輩と2人でタクシーで帰ってきて、「あー、終わったんだなー」というのが今の気持ちです。21時間フェリーに乗ってたから、まだ体が揺ら揺らする。
初日の雨は悲惨でした。もうかばんの中もぐちゃぐちゃ。
ライジングサンっていろいろしんどいこともあって、そもそもフェス自体、行くにあたって誰をどうやって誘うかとか、チキンなおれはいろいろ悩んだりするんです。
だけどライジングサンに行くといっつも、本当に来てよかったなーと思う瞬間があります。
1日目。
フラカンを待っているときに、くるりのワンダーフォーゲルが遠くから聞こえてきて、始まった!!
一発目、フラワーカンパニーズはライブを見てみたいとずっと思っていたバンドで、馬鹿の最高とか最高の夏とかをやってくれて、それからあのイントロが鳴って深夜高速をやってくれたのです。
ランデヴーバンドは夕方のレッドスターフィールドが最高に似合っていました。終わるころにはすっかり夜になっていて、風がめちゃめちゃ気持ちよかった。曽我部さんが音楽と歌うことが好きで好きでたまらないのがすごく伝わってきて、うれしくてしょうがない気持ちになりました。
2日目。
銀杏はライブ自体はアーステント音悪すぎ!って感じだったけれど、やっぱり峯田はおれのヒーローで、銀杏はおれにとって特別なバンドでした。
カルテットをバックにピアノ弾き語りをした椎名林檎は素直に圧倒されました。
それからpe'zmokuは後輩たちがすごく楽しみにしていて、それでおれも見てみたんです。みんな本当に楽しそうに踊っていて、心が温かくなるいいライブでした。こうやってライジングサンに来れて本当によかった、と思いました。
体力の限界がやってくるなかサカナクション。ナイトフィッシングイズグッド!
それから、本当にサニーデイ・サービスを見たのです。
曽我部さんはソカバンの曽我部じゃなくて、そしてやっぱりすごく気持ちよさそうに歌っていて。曽我部さんが「最後の曲です」って言ってサマー・ソルジャーをやったあとに、「最後にもう1曲ほのぼのとした曲をやります」「おれはずっとこの曲が好きです」って言ってコーヒーと恋愛。すごく幸せな気持ちになりました。
学生最後のライジングサンでサニーデイを見たということは、たぶんおれにとって一つの象徴的な思い出であり続けると思います。
「あー、終わったんだなー」というのは、まぁ感傷に浸りたいお年頃なんです。恥ずかしいけれどただそれだけなんです。
この数ヶ月はずっとライジングサンを楽しみにしていて。行きのフェリーに乗って甲板で乾杯した瞬間や、札幌についてジンギスカンを食った時間。往復のフェリーや旭川の宿ではたくさんの思い出話と、ごく最近おれに起こった出来事の話をした。
6年間一番バカな話をし続けている友達の一人がいて、それから4年生の冬に運よく知り合った後輩たちがいて。
思い出を消費することでしか昔の友達と話せない大人にだけはなりたくないってずっと思っていたけれど、いずれにせよ一緒に何かをした思い出は多ければ多いほどいいと思います。消費するのと同じだけ新しい思い出を作っていけるなら、それはそれでいいと今は思います。
自分を変えることって難しいけれど、惰性に負けないで、少しずつ自分の足で立てるように、タフに。人に寄りかからずに、でも人と一緒に、たくさんのときめきを作っていきたいです。
そして、夜も更けてサニーデイのライブ。
これは相も変わらず、学生の音楽だった。
ぼくが意識してそうしなくても、サニーデイで歌うと、書生の気分にもどる。
ああだこうだ迷ったり解ったつもりになったり感動したり泣いたり笑ったりしている、つまり旅をしているときの気分に。
かなりの緊張感のなかにいたが、自分としては素晴らしい夏の二日間だった。
「また来年も」という言葉が喉元まで出かかるが、同じ夏なんて二度とあるものじゃないのだ。