in the right place at the right time


バイトの後輩が、バイトを続けるかやめるか悩んでいる、と相談してくれるとき、いつだって答えははっきりしているのです。

そのたびにおれは、精一杯引き止めて「それでもやめなくてはならない」と自分自身でしっかり決めてもらうのがいいのか、精一杯背中を押してあげるのがいいのか、どっちがいいのか分からなくて、おれも泣きそうになりながら結局はおれ自身が見ていられなくなって、早く決断できるように背中を押してしまうのです。

おれは自分のそういうところがすごく自分勝手だなと思っていて、そしてその後輩がやめたあと、やっぱり日々は普通に続いていくのです。


どう考えても修士2年にもなって月に21回もバイトに入っているのは間違っていて、おれはいつだって偉そうに「うちの店で過ごした時間をステップに自分の道をしっかり歩んでほしい」みたいなことを言ってしまうけど、自分自身が一番それをできていないのです。

おれの1時間は920円で売るほど安くないって思いたいけど、でも他にすることもないから売っているんだろうなと思います。


ずっと、権力を握って金持ちになって、おれが正しいと思うことをした人が報われるコミュニティーを作りたい、と思っていたけど、そんなことはどうしたって無理なのです。

世の中にはあまりにもたくさんの頭がいい人、すごい人がいて、おれはやっぱり何かに才能があるってことはなさそうで、才能がある人が思いっきりその才能を発揮できるように陰で支えることが、自分の「やりたいこと」だと思います。


梅田望夫さんが引用しているたくさんの言葉の中で、おれは、「in the right place at the right time」(正しいときに正しい場所にいる)という言葉に一番惹かれました。

今までうれしかったこと、楽しかったこと、感動したことを振り返ってみて、すべておれにとって正しいときに正しい場所にいたことで味わったものだと思いました。

だからおれは「呼ばれる」人になりたいのです。

そのためには、何でもそれなりにはやれる知識と能力と、どんな雑用でも進んでこなすフットワークの軽さと、1つくらいは専門的な技術と、約束を守る人であり守れない約束はしない人になりたいと思います。そして何よりも「あいつがいるとなんか楽しい」、それはおれにとってすごく難しいことだけど、そんな推進力を与えられる人にどうやったらなれるのかを一生懸命探していこうと思うのです。


彼女がこの先、おれには想像もつかないような充実した生活を自分の手でつかむことを。